流聲 ryusay ☆彡

五臓五腑ノリコのブログ。SINCE September 25th,2004

カップオブチャイナ男子女子FS

以前「流すなら歓喜の涙がいい」とここに書いた。けれど今日もそれは叶わなかった。
正直、書きたくなかったけど、書きます。



女子FS、村上佳菜子は序盤のジャンプの抜けがあったものの、後半持ち直して堂々たるファントムをすべりきった。総合三位、おめでとう!
ただ、その後のリプ子は、途中で足を痛めたらしく、ジャンプがことごとくおかしくなった。結果は二位。キスクラで涙を流す姿が痛々しかった。
一位はロシアのトゥクタミシェワとなった。連戦とは思えない強さだった。


男子FS、田中刑事は4Sで転倒があったが、回転は足りており、認定された。満足のいく結果ではなかっただろうけれど、彼の椿姫はとても素敵だった。総合8位。


そして、男子最終グループで悲劇は起こった。


直前の6分間練習に、羽生結弦登場。衣装はファントムらしい燕尾と、クリスティーヌを彷彿とさせる白いフリルのついた、豪華な衣装。
リンクで止まって集中しているゆづに、後ろ向きに滑ってきたハンヤンが激突、両者頭を打ち付けたようになり、リンクに転倒。二人ともしばらく動かない。動かない。
ようやく起き上がったゆづは、顎からボタボタと流血していた。見ていて血の気が引いた。
そのまま練習を中断し、バックヤードへ連れて行かれる。ハンヤンも戻されたが、リンク外でしばらく横になったままだった。中国チームからは「棄権」との報告。
ゆづは、顎だけでなく頭も切っていたらしく、大きなテーピングをされていた。バックヤードからカメラを締め出すスタッフ。
しかし、その姿のまま、リンクの外へ歩いてやってきたゆづに、周囲がざわめいた。コーチのオーサーは彼を制していた。しかし、彼は涙を零しながらも、やめることをしなかった。そのまま再び練習へ入り、クワドを飛んで見せる。
練習終了、他の選手の演技が始まるが、彼らもまたショックがあるようで、どことなく笑顔が少ないように見えた。
ハンヤンの出番だったはずの順番が来た、と思いきや、バンソウコウ姿のハンヤン登場。なんとチームの棄権の判断を振り切って、演技した。当然、ジャンプはボロボロ。こんな形で大好きな「Fly me to the moon」を見たかったわけじゃない。私は涙が止まらなくなり、演技をまともに見ることが出来なくなった。
そして、羽生結弦登場。もう誰も止められない。4Tも4Sも転倒、後半に入れるはずだったクワドのコンビネーションは3lzに変えてきた。さらに他のジャンプもミスが目立った。目はらんらんと輝いていて、衣装は血に染まってしまっていた。異常だ、と思った。
その後、よろよろしながらキスクラへ。結果が出た。かれは顔を覆ってわんわん泣いていた。
結果、最終滑走のコフトゥンが優勝。羽生結弦は二位となった。
その後、担架で運ばれる。カメラに手を振っているように見えたが、どうやら「撮らないで」と言っていたらしい。
さらに判明したのは、バックヤードで棄権を促された彼は、「死ぬまでやる」と宣言したらしい。


ゆづ、ハンヤン、あんたたちは馬鹿か、阿呆か。こんなの「頑張った」うちに入らない。ただの無謀な頑固者だ。あのままリンクの上で死んでいてもおかしくなかった。頭を強打したあとに演技するなんて、命知らずとしか言いようがない。みんなみんな心配しているのに、まだ二人とも十代で若いのに、将来があるのに。こんなの賞賛していいはずがない。
ただ、二人とも昔からすごく仲良しだったのはよく知っている。絶対にわざとじゃないのもよく分かっている。
演技前に、二人で握手をしていたらしい。どうしてお互いを止めないんだろう。何の覚悟なんだろう。お客さんのため?トップ選手としての立場?


その後、ハンヤンは自ら文字を打って、ネットで無事を報告した。ゆづの傷は、アメリカチームの医師が縫合したらしい*1。病院での検査を受け、エキシビションには出ず、明日帰国するそうだ。


ショックと、怒りと、不安と、心配とで、頭が痛いです。胸が痛いです。そして書いている今も涙がこぼれます。
二人がまたリンクに戻れるように、元気になるように、祈っています。

*1:海外だと日本の医師免許を持っていても医療行為を出来ない場合があるらしい